[端末を閉じて、コートを持ち直す。そうしたら、胸ポケットから何かが落ちた。ひょいとそれを拾い上げてみれば、見覚えの無い絆創膏で]
……こんなの入れてなかったわよね。
[……もしかして、先の天使からの贈り物だろうか。血に濡れた指先を見れば、ジャニスはそんな事を考える。
好意を無碍にするつもりにもなれず、すっかり汚れてしまった手袋を脱げば、指先にぺたりとそれを貼りつけた。
人差し指と、中指。ニ枚しか無かったので、生憎と薬指までを覆う事は出来なかったけれど。
汚れた手袋は汚れたコートに押し込んで、ジャニスはゆるりと歩き出す。
図書館の入口近くの自動販売機で暖かなココアを買えば、そのままその隣の壁に背中を預ける。
いくら冬ではないとはいえ、日の薄い外に居るのは、寒がりなジャニスにとってはそれなりに苦痛だったのだけれど。
けれど此処に居れば、すぐに見つけてもらえるだろう。幸いジャニスは、真っ白で"目立つ"格好をしている様だから]
(34) 2014/10/05(Sun) 04時頃