うお、
[黄金の境界線《エルド・ラート》を越え、飛び込んでくる幼馴染。>>33
今見ていた夢の内容は、現実味のあるものではなかったけれど、胸の中にある『実感』は、今まで見たどんなリアリティのある夢よりも、強く深かった。
――そう、まるで、『現実に起こった事』のように。
あれはもしかしたら、運命のお告げなのかもしれない。
壁にかけられた日付つきの時計を見ると、日付は『あの《運命の》日』よりも前だった。
これはもう、実際にあの事は起こり、けれど何らかの理由で、巻き戻った。そう考えるのが自然だろう?
だとするならば。
しがみついて泣く幼馴染の背をポンと叩いた。そして、いつもと特に変わらない声色で言う。]
…泣くなよりょうちゃん
まるであの選択を後悔してるみたいだろ?
[この状況で、幼馴染《半身》がそれ以外の理由で泣いているなんて考えもしなかった。だって彼は、最期を共にした運命共同体だったのだから。
良平が落ち着くまで、彼の背を黙って撫でていたけれど。光一の表情にも変化があった事は、唯一一緒にいた良平がみていなかったので、誰にも知られる事はなかった。]
(34) taru 2012/02/19(Sun) 05時頃