[僕の姿を見るなり櫻子が明るい笑顔を見せるので僕はびっくりしてしまった。けれどもその微笑みは好きだったので僕も微笑み返す。そして交互に僕とヘクターさんとを見比べる櫻子の視線に、どうやら悟られてしまったなと微笑が苦笑に一寸変わる。] ん、なあにチョコレート好きなの? じゃあクッキーじゃなくて ザッハトルテでも持ってくればよかったかな。[なんてチョコレートの膜で覆われたケーキの名前を口に出す。こんなに嬉しそうにしてくれるのなら会いに来て良かったと思う。僕がどこで何をしてようと櫻子は会えば毎回こんな笑みを向けてくれるのだろうか。もしそうなら、僕はずっとこの館に通ってもいいなって。未来のことを少し考える。]
(32) 2014/09/21(Sun) 20時頃