[配下が立ち去ると、...は傍らの酒樽に鉄拳をふるう。噴出した麦酒が、...の上半身に降り注いでは、濡らす。しかし...の顔を濡らしているのは、麦酒ばかりではないだろう。]
イアンの馬鹿者めッ!
戦場で、敵に情けをかけるなと申したであろう…!
我が友リックよ、俺を許せ。
俺は、お前の倅の…優しさを矯めてやれなんだ。
あたらイアンを死なせたは、この俺の罪だ…!
しかしリックよ。
イアンのあの気性は、紛れもなくお前譲りだった。
そも俺に、矯正できるものではなかったのよ。
イアンは我が国最高の銃士として堂々と戦い、そして散った。
聞こえた勇者であった、お前の名を辱めはしなかったぞ。
友よ、あの世で倅を、イアンを褒めてやれ。
もう俺には…イアンを褒めてやる事は…叶わぬ故な…!
[麦酒の奔流が、とめどなく...の頬を*濡らした*]
(32) 2011/11/12(Sat) 02時半頃