─昨夜・処刑執行─
[ヴェスパタインによって読み上げられる開票結果。>>0
緊張と恐怖に固く握った拳に汗が滲む。
音になる中にジリヤの名前が上がると、息を飲んで顔を上げた。
先ほどの遣り取りからして、票のひとつはメルヤという少女だろう。
しかし、もう一票は?ヨアヒムの筈がない、だとしたら、村の誰かが────]
「 ヨアヒムさんに5票。
よって、彼を雪鬼容疑にて処す。 」
[出された結果に、思考が分断された。
たった一枚の紙切れが集まって、今から1人の命が奪われる。
唇が切れるほどに噛み締めた。疑わしきは処す。その重みは、自分の手にも確かに掛かっている。]
どうか、してる…みんなも、…私も。
[そうして、己自身もその一端を担ったのだと。たった今から、人の意思が人を殺すのだと、響き渡る処刑者の悲鳴で思い知るのだ。]
(32) 2015/05/29(Fri) 22時半頃