……それじゃあせめてさ、これ持って行ってよ。
袖引っ張ればその……なんだっけ、着物の長いところ?結べるし、腰に巻いたりしたら邪魔でもなくなるんじゃないの?
[言いながらキャリーを漁り、薄手のカーディガンを取り出して差しだそうか。受け取って貰えてもそうでなくてもバッグに戻したりしないけれど。
きっと荷物を持ってここに来た人数は少ないだろうから、分けられるものは分けたいなんて。まだ御礼には程遠いけど僅かでも彼女の手助けをしたかった]
うん、……おもんさん、絶対ここから逃げ出そう、ね。
[先に行く、という彼女を止めはしない。隠れ場所を台無しにするのは二回目だけど、やっぱり固まっているのはよくない気がしたから。そうして投げかけるのはまた鼓舞を乞うような言葉で。お互い、呑まれてしまわぬように。
……そうしたら自分も別の方向に歩き出そう。本殿の裏まで回れば、見える角度は多くないはずだ]**
(32) 2016/11/20(Sun) 15時半頃