ですから、胸をお張りになって。
麗しい、私のミッシェル様。
[糸からすべて厳選された絹のドレスは、流れるようになめらかで。
胸元から身体のラインをなぞり、たっぷりと重ねられたシフォンが袖口や足元で美麗なドレープを描く。
王女の瞳の色に合わせて白から淡緑にやわらかなグラデーションを広げる布地には、白金の糸で細やかにつる薔薇と羽根のモティーフが刺繍されている。
まさに、極上のドレス。
合わせるは真珠。大も小も様々だが、中でも目を引くのは半インチはあろうかという大珠だ。
それを飾り引き立てるように他々の真珠が細金や絹糸の編み合わせにあしらわれる。
長い金糸の天に瑞々しい生花で彩られた櫛を挿せば、ともに絡みあい流れる白いかがやき。
まさに、極上の髪飾り。
胸元には天青の首飾りを。紅には薔薇と紅花のしとやかな赤を。
すべてがすべて、この日のため、この王女のためしつらえられたもの。]
(31) 2012/01/07(Sat) 23時半頃