神宮院の歴史は遥かに、この国を王が治めていた頃まで遡るとも言われるが。私のような存在は、誠に異端だったという。
その異能の血を絶やさぬべく有り続けてきた一族の者は大変に驚き怒ったが、しかし不幸にして私の両親には私以外に子が生まれる事はなかった。分家筋から養子を取る案もあったというが、これは『剃刀』の原理に照らして他の血流から反対の憂き目にあったという。
代わりに彼らが目を付けたのが、当時『機関』で極秘裏に研究されていたArk因子というものだった。
私はそれがどのようなものか全て知っているわけではない。
ただ分かるのは、これが恐るべき予算と経費と時間を元手に作り出されたものだろうという事だ。
そして当時分からなかったのは、これがオスカー…いや、今は
『蒼舟-アオブネ-・藍-ラン-=オスカー』となった彼らの上に成り立っている力であろうという事だった。
(31) 2014/04/08(Tue) 22時頃