― 岬 ―
[腰の太刀を掴んで余四朗が地を蹴る>>24その俊敏な動きと、抜き放たれた刃の閃きに、鬼丞は知らず満足げな笑みを浮かべた。
鋭い一閃に胴を薙がれながらも、三つ目の虎は尚踏みとどまっているが、対峙する余四朗には、まだまだ余裕があるとも見て取って]
後ろは任せな。
[周囲に気を配りつつ機会を探る余四朗に、声をかけると同時、ひゅう、と風が高く哭く。
高い空から余四朗の背中を襲おうと一直線に飛来した羽根持つ蜈蚣を小さな竜巻が巻き込んでその長い身体を捻りに捻り、遂には、ばらばらに捩じ切った]
喰えるモノと喰えないモノの見分けくらいつけねえか、と言っても判らねえだろうなあ。
[ぼやくように言いながら、鬼丞は、すい、と、目の前に伸ばした腕を何かを払いのけるように、横に振る。忽ち、ごう、と放たれた風が、捩じ切られた一匹に続いて降って来た蜈蚣の群を一時に跳ね飛ばし、その薄い羽根を引きちぎる。
ぼとぼとと、地に落ちた妖は、のたうちながら乾涸びていった**]
(30) 2015/02/08(Sun) 20時半頃