―回想・商店街―
[あちらこちら。商店街の端から端へ。
進む秒針に従ってカバンの中身も軽くなる。
いつもより駆け足で配達を終えたせいか、少し息が切れている。
パタパタとブーツを鳴らして最後に訪れたのは花屋なのだが––––––]
し、閉まってる……!
[店の中を静物画のよろしく彩っている花に出会うことなく、その日の…の業務は終わりを告げた。
期限が明日までの注文票を握り締めて、芳香とアスファルトの匂いを隔離する店構えを視界に捉えて、1人慟哭しそうになる。
中ではまだ従業員が作業>>26をしているかもしれないが、恐らく視界に入らないだろう。]
あぁぁ…おっこられる、なぁ…
[バイクまでの道のりをトボトボ。
その道中、本屋への伝票も渡し損ねていることに気がつけば今度こそ小さく悲鳴をあげた。
だけど明日は、もっと不可思議で珍妙な事が起こるだなんて、少なくとも…には想像出来なかった。*]**
(28) 2014/10/03(Fri) 03時頃