―回想・少し前のテーブルで―
ううん。いいの。
よくできてるから、記念に、ね。
[ヨーランダからイラスト入りの紙ナプキンを受け取りながら>>10、ざっくりと返した。
ナプキンのキャンパスの中では、まんまるな自分と顔文字のカップルが、こちらのことを見返している]
……………………。
[彼女にかけた言葉は、半分はつなぎの返事で3割はウソ。
……悪くない。
しまう直前に少しだけ見つめた、『落書き』と称された絵に思う。
単なるラフ絵にすぎないものの、彼女が描き出そうとしていたほのぼのとした空気は読み取れる。
今所属しているビジネス書部門では使い道がないけれど、2年前まで在籍していた週刊誌のデスクでなら、挿絵として求められる画風のはずだ。
より安く、けれど信頼できるイラストレーターは、いつだって求められている。
いざ、相談でも持ちかけられた際に、ヨーランダを紹介できれば、あの部門に恩を売ることだってできるはず。
部数減が災いし、飛ばされる形で異動となってしまったけれど……。
もしかしたら、たとえ些細なことであれ、あの場所に返り咲く一助にもなれるかもしれない]
(26) 2011/08/25(Thu) 22時頃