―― 瞼の裏の幻影 とある駅 ――
[そこは、とある古びたターミナルステーション。
空は青く晴れ上がっていて、背中に背負ったリュックを担ぎなおした。
手の中には、1枚の葉書。裏にはこの駅のクラシックな時計が見上げるように描かれている]
……しまったな。ここまで来たら、直接渡した方が早いじゃないか。
[目の前に置かれた、円筒状のポストに向かって愚痴をこぼした]
怒ってる、よなあ。またいきなりだったし。
[葉書を見ながら空いた手で首裏を掻いた。うつむいて、唸る。
しばらくポストの前で逡巡した後、結局葉書は出さないまま踵を返した]
[ぶらぶら左右のウィンドウ見ながら、改札へ向かう。
ふと、視界の端に薄暗い一角がよぎって足を止めた。
コインロッカーの立ち並ぶ、その場所。
知らず知らずに足が向く]
(25) JACCY 2010/03/09(Tue) 22時半頃