[あれからどれくらい経っただろうか。 周囲は、白に染まっていた。 一面、真っ白な霧の世界――記憶の途切れる前にいたところと似た、しかしどこか暖かいところ][目の前には、自分が愛した少女が穏やかな表情で眠っていた]……よお。元気か? ……はは、俺が言えたことじゃーねェか。悪いなあ……お前の声、聞こえてたよ。聞こえてたけど……期待に、応えられなかったな。[かがみ込むようにして彼女に顔を近づけ、ささやく。 白の世界は、少しずつ、さまざまな色に輝きながら黒へと近づき始めているようで] 俺がこうして話しかけてられるのも、そう長くはないみたいなんだ。――向こうに行く前に、言っておこうと思ってな。
(25) tamamh2 2010/08/13(Fri) 19時頃