……しかし、私は地面に居るのに君だけ空にいるのは些か狡いんじゃあないか。
[チキ、チキ。右手の指の爪を弾いてその先を解いたのならば、するりと解けるのは5本の細く強く、そしてしなやかな蜘蛛の糸。
口に煙を貯めつつも、その糸を束ねたものを相手の方へと飛ばしたのならば、さてその糸の向かう先は。]
塀から降りてきたらどうだね、卵≪ハンプティ・ダンプティ≫?
[蜘蛛のように風に乗せて飛ばしたのでは、きっとあの卵へとは届きはしないだろう。
しかし、糸の先に纏わせた"重い煙"があるのならば、3秒あればきっと、届く。
糸の向かう先は、卵の手の中の"和紙之本≪ウス=異本≫"。何の本かは知らないが、それでも大事そうに持っている事から……きっと唯の本ではないのだろうと。
さて、そんな思惑と共に飛ばしたその糸の束は。果たして、彼の持つ本へと届きはしただろうか。
届いたのならば、そのまま糸を手繰り寄せ。届かなかったのならば、男は舌打ちと共に僅かに距離を取ろうとはしただろう。]
(25) 2015/06/24(Wed) 13時頃