―大通りの一角→自宅前―
[恐れるな……見た者が「彼」だと決まったわけではない。
そのように心で何度もつぶやくが、心に根付いた恐怖は簡単には拭えず。
若干息を荒くしつつ、いつもよりゆっくりとした歩みで家の前まで辿りつく。その時。
何者かが近づき、「クラシコフ様」と呼びかけ、恭しく頭を下げてきた。]
……?あなたは?
[問いかければ、彼は自分に仕事のネタを提供したいのだという。なるほどと頷き。話の長さを聞けば数分で終わるとのことなので、細い路地にて話を進めることにする。
話を具体的に聞くと、近々労働者が反乱を起こすだろうと。そこまでは自分も空気で解っていたし、既に自分もその空気の一員であったが……話を聞くとどうも様子がおかしい。
反乱分子の動きを察知したと。食料庫が襲撃されるようだと。貧民を助ける名目で、備蓄基地や食料倉庫から、全て根こそぎ持っていかれ、備蓄は機能不全を起こすだろうと。
連中の悪行を文字に起こし、怒りの感情を共有させられれば、中流以上の市民達から絶賛を持って受け入れられるだろうと。
……おかしい。そう思いはするが表情には出さず。]
(24) 2014/09/05(Fri) 22時半頃