あ…いえ。私は何も、他の方の事について言ったわけではなく。
……そうですね。私はあくまでも先生個人と縁あって置いていただいているだけですから。いずれはここを去る事になるだろうとは理解しています。それでも、ここの蔵書のその後の事を考えると、断腸の念を禁じ得ないですが。
確かに芽瑠さんの機嫌を取っておくのも良いかもしれません。芽瑠さんは背の高い年上はお好きなのでしょうか?
…いえ、今のは冗談ですよ。
[石動さんとそのように話してしばらく、準備が整い、私も皆様を晩餐室へとお招きしました。本来私は居候に過ぎないのですから、冠城家の皆様と同じ食卓を囲める身分ではないのですが、今日は先生の誕生祝という事で、その辺りは少し特別だったのです。
夕食は何事もなく済みました。ただ、先生は折角の日だというのにいつにも増して塞ぎがちに、部屋に戻ってしまわれたのが気がかりではありましたが。]
(24) 2017/12/15(Fri) 21時半頃