─ 雑貨屋 ─ どうも。お邪魔しますよ。[キイ。と、木戸の音を立てて小さな店に男が足を踏み入れた。慣れた足どりで、目指すのはカウンター。宿の娘の姿を見とめて、男が唇の端を緩やかな笑みの形につくる] いつもの仕入れ分に……、 ナタリア婆さんの注文の品。入りましたンでねえ。[手にした鞄から、幾つも取り出したのは紅茶の包み。カウンターへと並べて置いて、伏目がちな娘へと薮睨みの目を向ける。だが、程なくキキッ!と、傍らから響いた高い鳴き声に男は目を其方へ向けた] おお、おお。 相変わらずここは賑やかなこって…
(24) 2012/06/11(Mon) 01時頃