[祖父の仕事に関する手腕は誰より尊敬しているし、良い理解者でもあるのだが。
黍炉自身のプライベートについて、互いの主張は平行線を辿る一方。
祖父曰く、曾孫の顔を見たい。
その気持ちはわからなくもないのだが、如何せんこればかりは異性を性的対象に見れない己にとって、頭の痛い難題だった。]
……バライラ因子、か。
あれが実用化されれば或いは。
[話題がなくなったゴシップ誌を時折賑わせるのは、人類最大の危機という見出し。
そして、約十年前に発見されたというバライラ因子。>>#2
男同士で繁殖可能という世紀の大発見。
女性出生率が低下し、少子化問題が深刻となっている昨今だが。異性愛主義の主張もあり、世論は賛否両論だ。>>3
しかし、これからの人類の存続には必要不可欠であると。
大仰な大義名分を掲げ、Birth Liberty計画にコンツェルンとしても計画を進める政治家に肩入れする等。
マスコミや資金面での積極的な協力姿勢を示している。
己にとっては表向きの建前に過ぎず。
祖父になんとか異性との見合いを諦めてもらう為、一縷の望みをかけているのが本音である。]
(24) 2015/11/10(Tue) 21時半頃