死ね。
[脊髄反射としか思えない速度で、男は司祭へ斬撃を叩きこむ。言葉とは裏腹に、致命傷は敢えて避ける。その上で、壁に磔にするように蔓は司祭の四肢体幹を縫いとめた]
何をした。あの子達に、何したの。
[冷えた声色で問いかけて、蔓は痛みを与えるようにじりじりと動く。右の赤い瞳だけが、爛々と獲物を見つめるように熱を帯びる]
"――――――……"
[司祭は言う。子供達は本当に眠っているだけだと。けれど、このままでは一生目を覚まさない。術者の司祭を殺しても、目を覚ますことはない。
"吸血姫"が倒れた時のみ、彼らは目を覚ますだろう、と。
"裏切者"は、血を流しながらエゴと慈愛に満ちた微笑みを浮かべた。
此処が死者の街になるならば、子供達は命を落とす運命となる。同じ死ぬならば、せめて悲しみを知ることなく、安らかな眠りを。
万が一、万が一、まだこの世に神がいるならば。そのときは、無垢なる子供達へ希望の朝を]
(23) 2015/01/19(Mon) 20時半頃