〜 記憶の欠片と呼ぶにはあまりに遠く 〜
[”その男”との出会いは互いに明確には覚えていないだろう。
”いつの間にかいる男”、それが赤と黒の男だった。
知り合ったばかりの一本気な性質の若い男は熱弁をする。
面倒くさがりながらも相槌を打つのが何時の間にか
酒場での赤と黒の男の役割となっていた。]
『真理の鍵《クラーウィス・ウェリターティス》?
また随分と大層なもんを持ち出したそうとしてる。
世界の真理さえも変えうる力を手に入れて、
”お前はその先に何を望むんだ?”
変革か、それとも混――…はあ?ちょっと借りて返す?
…つまりお前が考えてるのはあれか。
栄光《グロリア》がいつでも抜け出せるような扉を作るとかか?
…ガキの発想かよ。
世界中探したってそんなこと誰も思いつか――…や、
馬鹿にはしてない……結構有りだと思った。』
『それよりもいい加減名前覚えろ。俺の名前はアー… こら、聞け…!』
(22) 2011/06/11(Sat) 21時頃