…………。
[今にも滅び落ちそうな街の中心で、子供達は楽しい夢でも見ているかのように穏やかに眠っている。このまま目覚めなければ、彼らは幸せなままなのだろうか。
――しかし少なくとも、司祭に真意は問うておくべきだろう。
男はゾーイの頭を撫でてからそっと立ち上がると、部屋を後にして司祭を探す。
解呪を行うと言っていた部屋には既に誰も居なかった。保護した人間もいないと言うことは、術は成功したのだろうか?
何か嫌な予感を覚えつつも、疑いは確信に至らない。教会の構造は熟知していたが、それでも司祭は見つからない。とうとう昔から強く入室を禁じられていた、司祭の私室>>#1の前まで辿り着いた]
(――――…司祭様)
[声を掛けかけて、口を閉じる。
何故そうしようと思ったのか、自分でも上手く説明できないのだが。男はそのまま、部屋の扉を勢いよく蔓で蹴破った。
その瞳に映ったのは唖然としている司祭の顔と、壁に掛けられた"逆十字"]
(22) 2015/01/19(Mon) 20時頃