―教会・避難部屋―
[服を着替えたついでに、子供達が保護されているであろう避難部屋へ足を向ける。もう夜遅くだからか、大半は静かに寝息を立てていた]
や、久しぶり。
[小さな声で囁いて、起きている子供たちに微笑む。部屋の片隅には、雛菊が佇んでいた。
"私がお世話するの"と、ゾーイが鉢を抱きしめる。"俺がやるんだよ"とトニーが抗議する。きっとこの子達は、ミツボシが首謀者であることを知らない。二人の小競り合いを微笑ましげに眺めながら、花の世話の仕方を教えたりしていたが――。
ぱたり、と。
まるで糸が切れた人形のように、突然トニーが動かなくなった。ぎょっとして状態を確認したが、どうやら心拍も呼吸も問題なく、ただ眠っているだけのように見える。
"トニーも寝ちゃった"ゾーイが寂しそうに呟いた。彼女に詳しく話を聞くと、どうやら子供達は最初、不安と興奮で皆眠れなかったらしいのだが。司祭が"子守唄"を聞かせてくれた後、一人、また一人と眠りに落ちて行ったらしい。この眠りが非常に深く、どうやっても誰も起きようとしないのだとか。
言い終わらない内に、ゾーイも静かに夢の中へ]
(21) 2015/01/19(Mon) 20時頃