[走りながら少女は考える。
なんで自分がこんなに逃げなきゃいけないんだ!
わたしはなんにも悪いことしてないのに!
ただほんのちょっと、宵闇で見た姿がとっても綺麗だったから捕まえて幻術の中に閉じ込めようとしただけなのに!
捕まえようとしたら逆に捕まえられて、なんにも悪いことしてないのにいっぱい怖い思いをして、いっぱいいっぱい謝ったのに!
なんで会うたびに追いかけて来るんだ!このいじわるふよふよ野郎どもめ!
悲しいかな、少女には木霊の見分けなどついていない。
彼女が閉じ込めようとしたそれと今追いかけてくるのは全くの別物で、奇声を上げながら逃げ回る自分が面白いからという理由だけで追いかけられているなどとは全く気づいていないのであった。]
ーーはっ!
そ、そこのお姉さん!たすけてえ!
[不意にかけられた声>>17に、耳がぴょこんと立った。
言葉の中身を吟味する暇もない、四足歩行の少女は相手の足元に隠れるようにぴたりと張り付き、丸くなってぷるぷると震え始めた。]
(21) 2016/05/22(Sun) 19時半頃