―甲板―[翼休める渡鳥の足元に、不動の小島の如き男の頭は在る。頭髪を欠いた肌に走る数多の傷と些か硬すぎる頭蓋の感触を、真に波間から突き出た岩か何かのものと勘違いしてか、白羽の鳥はすっかり落ち着いて微睡んでいる様子。石頭に鳥を乗せた男はといえば、微動ともせず巨躯の背を丸め甲板を眺めていた。左右上下へ動く左眼に、ギロンと剥いたまま動かぬ濁り硝子とエナメルの義眼は置き去られ、所在なげにテラテラ光るばかりであった。隻眼の負担を受けた左目を助けるのは聴力だ。怒声だ歌だ鼠だ風浪の聲だ何だと、本日も船は喧しい。しかし、無傷の右耳と耳殻が殺げた左の耳孔が収集する音の中には、自らに宛てた“命令”は含まれていない。常から命じられねば動かぬ男は、甲板の隅に座り込んだまま注意深く待っている。“命令”を。]
(21) 2014/12/07(Sun) 11時半頃
sol・la
ななころび
下記の場所以外では、人狼議事内キャラチップ の利用を許諾しておりません。ご了承ください。
議事総合トップ 人狼議事lobby 人狼議事morphe 人狼議事cafe 人狼議事perjury 人狼議事xebec 人狼議事crazy 人狼議事ciel SoyBean Sangria @hello_giji @7korobi