[呻き声には、思わず愉快に含みを兼ねた表情を浮かばせました。そして袋に入った食材を覗き込めば>>2:386、学生はふわりと目元を緩ませ。
『大丈夫。作れるよ』
美味しく出来る保障は何処にも無いけれど。蛇足気味に付け足されたそれにはひとつ、睫毛を揺らします。されどその後に続けられた言の葉には、表情には、笑みさえ固まらせ、瞬きを数度繰り返すのです。ぱちぱち、ぱちぱち。まるで何を言ってるのと問うばかりの表情。反応の遅れた脳芯にジワジワと言の葉の意味が伝わったのならば、ひくりと口端を引き攣らせ、生意気、なんて心象に反し捻くれた返し言葉を返し。*]
―――突き放せば、追うのをやめてしまうの?
[学生は彼に問いました。示される腕には未だ答えずに、降る雨を背曲に。ぱたりぱたりと滴る雨を靴裏に踏み付ければ、びしゃりと弾ける音を聴き。学生は片手に持った荷物を持ち直し、重ねていた手を離しました。まるで言葉通りに突き放そうとしているかのように、薄い笑みを浮かべる彼を視線鋭く捉えたのなら、その腕に手を当てて――]
(20) 2014/10/07(Tue) 03時頃