[白く無機質ながら施設は父体へのストレスフリーを掲げ、
マタニティブルーの解消を謳っているだけに、手広く清潔。
己が推進させた福利厚生をこんな形で蒙るとは予想外だが。
ともあれ、歓待を示すサーヴァントに会釈して、
リビングを見渡す双眸。部屋へ続く扉は六つ。
己の記憶が確かなら、個室はみっつ、
共有スペースがリビングを合わせよっつの筈だ。
Cの名が並ぶ扉を探すのは自然な行為。
そっと身体の横で握り込んだ拳に他意はない。
時として平和の為には武力で以って、
自由を勝ち得る場面も必要だというだけ。]
――― Kilroy was here ?
[口をついて出たCの隣に並んだK
零した言を咀嚼する前に、売れた顔を目指す青年が一人。>>15
見やれば、まだ若さを残す学生然。
近づく彼に視線をくれて、鼓膜で受け取る仰々しい宣言。]
(19) 2015/11/11(Wed) 01時頃