ー回想、夜、錠とー
『では、評価できるものを期待しよう』
[教授然とした言葉と優しい口調は、自分だけに向けられるものと思えばとても幸せな気持ちが生まれる。とても簡単に幸せになってしまう自分のちょろさには呆れてしまうけど。心配してくれるのも期待してくれるのも、確かに自分の原動力となる。
だから不敵に笑って口を開いて]
楽しみにしてて
期待以上のものを目指すから
[錠前に対しての反応にはイタズラっぽい笑顔を。しっかりと名前を把握しての発言だからと]
知ってて言ったのよ?
照れたり慌てたりしてくれるかと思って
[タクシーの運転手に漏らされたら危ないギリギリを探るような、少しだけ悪趣味な言葉だけど、今迄何度か「パパ」と使ったタクシー会社だから、噂になるとしても手癖の悪い娘がまた火遊びをしているんだろうと、それくらいの噂だと判断して。
そんな風に会話を続けて車が停まったのは、隣街の宝石店。鎖を買ってもらえるのかしらと、小さな期待がちらりと揺れて]
(18) 2014/10/09(Thu) 13時頃