[帰りがけ、花屋で一本花を買う。
中心が柔らかな桃色、縁に向かって白くなる、花びらの縁がレースのようにひらひらとした大輪の芍薬。
片手にケーキの箱を持ち、肩にもたせかけるように芍薬の花を載せ、荷物もあるしと傘代わりの防滴障壁装置を起動する。雨が弾かれるのを眺めながらSiKiへ向かっていると、小柄な人影が俯きがちにとぼとぼと歩くのを見つけた。
(…迷子?)
その小柄さから、とっさに子供かと思ったが
(ちがうな、おとなだ)
子供特有の、四方にに目線を向ける仕草がない。
一人で迷子なら特に、不安感からあたりを常に伺い、何かを探すように動くものだがその人影は歩く方角がちゃんと定まっているように思われた]
「…大丈夫、ですか?」
[調子が悪いようならモナリザか、生身の乗務員でも呼んでこよう。そう思い、追い越しながら顔を覗きこんだ。
外に出るからと、服装はおとなしめに黒で纏めているものの、ピンクの髪と二色の瞳は隠していない。
反応があれば応えるし、そっとしておいてと言われたら、先に戻ってモナリザにこの事を伝えるだろう*]
(17) 2018/06/15(Fri) 18時頃