―ラルフ邸―
[どうやら寝ていたようだ。
額にくすぐったさを感じ目が覚めるとラルフが心配そうな顔で覗きこんでいた。>>16]
わ、…!
い、い、今すっぴんだから!
[化粧をしていない顔をじっくり見られれば、きっと男だとばれてしまったかもしれない。急いで布団に潜って顔を隠した。
昨夜はベッドに寝かされ自分はソファで寝るから、と言う彼に対して、ソファで寝たら体固まっちゃうよ、ベッドおいでよー、なんて暢気にからかっていたが、承諾されなくてよかった。
――ラルフには、男とバレたくなかった。
いや、オレは男じゃない。ミルフィ―姉ちゃん―なんだから。姉ちゃんができなかったことを、オレが果たすんだ。だから、バレていない人―ラルフ―が必要だった。]
……ごめん。
[布団に入ったままの籠った声が彼に届いたのか、どう伝わったかどうかはわからない。]
(17) 2013/09/14(Sat) 18時半頃