[―――さておき、流しに置かれた野菜には、己のものではない畑から採れたものが混じる。ある日「農家になりたくなった」>>0:220と言った少女の手は、遠目から見ればきっと変わらず細いだろうが、触れればその皮膚は大地の固さを知るだろう。あの夜。村にただならぬ気配が満ちていた。もうすぐ巫女を食らえるという期待。熱。新しい巫女を抱くという悦び。鬼の一字を、朽ちかけた表札に掲げたこの家では、静かに刃物を研ぐ音が響いていた]
(17) 2017/11/23(Thu) 03時頃