― 昨日の事 ティソくん宅前 ―
[目前の扉が開かれたことに、学生は暫く目を瞬きその中を見詰めました。汐風は学生の背から其方へ向かい、彼の髪を僅少揺らすこともあったでしょうか。ぼんやりと、まるで意識は別の場所に在るかのように呟かれた学生の渾名>>3:327には、漸く学生も意識を戻して微笑みました。]
…おはよう、ティソくん。
[挨拶に言葉は返されたのでしょうか。何を話そうかと唇を開き掛けているうちに、下げられた頭と落とされた謝罪>>328。学生は小首を傾げ、黒髪を片やに垂れさせ、その光景を不思議そうに視界に入れるのでした。 どうしたの。なんて。彼の行動を問う言の葉は咲くことは無く、脳裏に浮かび上がるは昨日のこと。遠ざかる彼の背に――”異端”に震えた自分のこころ。学生は笑みを徐々に消すと、ひとつ目蓋を閉じ歩先を地面に擦らせました。]
(16) 2014/10/09(Thu) 12時頃