―ボストーカ・市街―
……だから、しつこいって言っているんです。
[一目見て分かる軽い見た目の男に腕を掴まれ何やら勧誘文句を吐かれ、レティーシャは困りきっていた。
ふわふわした金髪、見るからに上質な鞄と近辺では有名なお嬢様学校の制服。金持ちの子供だとあたりをつけてのキャッチ程厄介なものはない。
何せ諦めてくれないのだ。振りほどこうにも力は圧倒的に相手へ分配が上がりそれさえ出来ずに、かれこれ数分ほど同じような問答を繰り広げている。]
……もうっ!
[仕方ないと手に持っていた鞄を男にぶつけて駆けだせば野次馬がざわついて。それ以上追うことは諦めてくれたのか気配もなく、やがてどこかの店前にひっそりと佇む花壇へ腰かけた。
次いで視線を高く聳えるビルの屋上付近へと向ける。
――あそこから飛び降りたのなら、この退屈な人生に終止符を打てるだろうか?
見つめる碧眼はどこか虚ろ。動く気にもなれずにしばらくそこに座り込んでいる*]
(16) 2014/10/26(Sun) 20時半頃