─ 港へ向かう途中 ─
[女の能力を買った男は、己の危険を顧みず革命に心身を捧げた。
何時罪に問われるか知れない覚悟を抱き、己の犠牲が未来への礎になると信じ続けてこの地を追われた。
瞼の裏に浮かべた男の姿と、シメオンの姿を重ねても合致はしない。
それは当然だ、人は皆異なるものだから───けれど。
エリアスに話すというよりも一人言の様に呟くと、伏せていた瞳を前へ見据え]
私がシメオンさンの元二向かう理由ハ、食糧庫の襲撃を伝えル為。
艦を奪ッテも喜ぶノは武器ガ欲しい人ダケ。
ソんなことをするヨリ、襲撃ヲ止めに行っテと頼みに行クところダッタ。
イリヤさん。
あなたハ、私の意見ヲ聞いテ、今何を思ってル?
[視線は行く先を見据えたまま、女と歩調を合わせ歩く男に問いかけた。
彼の答えが何であれ、女の意志は変わらないが**]
(15) 2014/09/06(Sat) 21時半頃