――理事長室前―― ……、[重厚な扉の前で立ち止まる。短く括った鳶色の髪が、うなじで小さく跳ねた。 すれ違うものたちに向けていた生真面目な顔を、小さく歪めて息を吐く。 ノンフレームの眼鏡を弦を上げると、ちらりと自身の胸元を見た。白衣に名札がついている。 そこには、理事長と同じ名が刻まれている。 扉の向こうの醜悪な顔と、昨日かけられた言葉を思い出し、肩をすくめた] "新任医師に協力しろ"、ねえ。 わざわざ呼び出してまで言うことか?[素直な疑問に首を傾げ、ノックしたあと扉を開けた**]
(15) 2011/03/10(Thu) 09時半頃