― 回想:「男が生きている訳」 ―
[在りし日の声が、耳に木霊する。
「この手紙を彼女に…」
「彼がこの手紙を…?」
友人に、想い人に手紙を届けてほしいと頼まれた。それを届ければ、その彼女は幸せそうだった。届けてきた事を話せば、「ありがとなっ…」と、友人も幸せそうだった。
そんな2人を見ていたら、柄にもなく嬉しくなった。きっと2人は、これから一緒に幸せになっていくんだろう、と。
そして友人はその夜、最初の犠牲者となった。
次の日の朝、友人は無残な死体となって発見されたのだ。最初は殺人鬼が出たとの噂が広まり、直ぐに村は閉鎖された。
しかし、その次も、その次の日も、犠牲者が出た。村を閉鎖したにも関わらず、死人が出てしまう。そしていつしか、人狼が姿を現したと、村中に知れ渡れども、時既に遅し。殆どの村人が犠牲になっていたのだ。]
(15) 2015/04/15(Wed) 20時半頃