[と、今度は見慣れたオレンジの髪が歩いてくる。
キャリーさんだ!>>2:65
彼女は道行く人に何か尋ね歩いているようだ。
真剣な面持ちの彼女だが、ふと浮かぶ笑顔は昨日と変わりなく、先の恐怖が一気に吹き飛ぶ。
すぐに彼女の方へ飛んでいき、胸の内の不安を吐露したい。女の腕で抱きしめられ、明るく笑う彼女に優しく撫でられたい」
(あ…服…)
[彼女へと向かう足をぴたと止め、自分の格好を思い出す。昨夜は家に帰らなかったので、着替えてない。もし家に帰ってないことを気づかれたら、彼女は酷く心配するだろう。そうでなくても、服はくしゃくしゃ、頭はぼさぼさ、顔は真っ黒に汚れている。こんな格好で彼女に会いたくない]
(…また、会えるよね!)
[まだ祭りは続くのだ。会いたくなったら弦月の宿で待てばいい!
そうだそうだ、そうと決まれば、すぐ決行だ]
(またあとでね、キャリーさん!)
[キャリーに背を向け、体を清めるために家へと駆けていった。
――それが彼女に会える最後のチャンスだとは知る由もなく*]
(14) 2013/08/31(Sat) 06時半頃