― 千砂倉市街地・市街地 ―
[教会の桜並木を抜ければすぐに、ショーウィンドウの並ぶ華やかな街並みに行き当たる。
千砂倉中央通り。
千砂倉と他の都市とを繋ぐブリッジから真っ直ぐに伸びる、千砂倉のメインストリート。
男が調査任務へ赴く前には赤と緑と白で溢れていたディスプレイは、今では甘く可愛らしい赤やピンクに切り替えられて。]
やれやれ。
まだ一月も先の事だというのに、気の早い。
[貰うのは良いが、小さな塊に求められる三倍の誠意が痛い。
ついでに、年若い同僚の苦々し気な眼差しも。生きた年数の差で、縁の数が違うだけだろうに。]
……そんなに欲しいなら、今年は私からもくれてやりますかね?
[冬の寒気に息が濁る。
飛び交う義理の中で一際高価な包みでも渡してやれば、怒気やら何やらで赤く青く変わるあの青年の顔でも拝めようか。
軽い呟きは、存外悪戯としても悪くはなさそうで。]
(14) 2015/01/14(Wed) 23時半頃