[袖を通すのは、ポンパドゥール夫人のようなボリュームたっぷりのドレスに、大きく開いた胸元を隠すケープ。
七分丈のアンブレラ・スリーブから、小鹿のような細い腕が伸びている。
右側だけ結わいたサイドアップに、ドレスと揃いのチョコレート色の大きめリボン。
色味こそ控えめなものの、下品で化粧っぽい装い。
おおよそ修道院に似つかわしくないだけれど、そんなことは関係ない。
こっくりとしたチョコレート色は、娼婦・ショコラのアイデンティティだ]
はぁい?
[ショコラちゃん、と呼び止められて、にこやかな笑みで振り返る。
声をかけてきたのは、この修道院を牛耳っているシスター。
ダッサい修道服に身を包んで、お堅いフリして売春の斡旋をしている欲望まみれの汚れたババアだ。
……ああ。それとも修道女だから、汚れてはいないんだっけ?]
(12) 2016/10/06(Thu) 15時半頃