ー社務所ー
[……そうして、どれ程の時が経っただろう?
まだ智花ちゃんは私の近くにいただろうか。不安と焦燥が、時間の流れを何倍にも引き伸ばして私に伝えてくる。もっとも、本当の時間なんてここでは分からないのだけど。
脳裏に出て行った叔父の背中が過る。
そして、絹を裂くような悲痛なあの子の叫び声も。]
……ねえ、智花ちゃん。さっきあんなこと言っといてなんだけどさ。
やっぱり私もちょっと見てくるよ。辰次おじちゃんと……さくちゃんのこと、心配だから。
[智花ちゃんが傍にいればそう声をかけて。ついていくと言われれば勿論断らない。
……約束、したんだ。明日一緒に遊ぶって。
そしたらそのときには、私はいつもの“みょんちゃん”でいなきゃいけない。
さくちゃんと智花ちゃんと晶くんと、……辰次おじちゃんも、混ぜてあげてもいいかもしれない。
だから、今。
助けに行かなくちゃ。
そう決意して、社務所を出た。]**
(11) 2016/07/20(Wed) 01時頃