つまり、自分の秘書として私を雇おうと申し出てくださったのです。もっともそれは半分建前で、先生は普段狼哭館と呼ばれる山奥の城館に引きこもっておられるのですから、秘書としての仕事などそうそうあるものではありません。つまり、秘書の仕事は名目で、実のところは狼哭館に収められた大量の稀覯書を自由に読み、好きな研究を自由に行って構わない、代わりに望まれた時にはいつでも先生の話相手となる事、それが私に先生の与えられたお役目であったのです。そうして私は、この狼哭館の住人となりました。以来3年。私のことを先生の愛人だとか後ろ指さす者も多いという事は重々承知しています。それでも、先生が望まれる限り私は先生の秘書…いえ、先生が望まれた通りの「食客」であり続ける所存なのです。
(9) 2017/12/11(Mon) 00時半頃
sol・la
ななころび
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