─ 昼休み ─
[自分の席から移動はせず、椅子を90度横にして窓側を背に座る。
窓の外から漂ってくる金木犀の香りにすん、と鼻を鳴らす。名前は知らなくても、昔からその香りと小さな花が好きだった。
弁当箱を持ち帰れないからとコンビニで買ったパンにかぶりついていれば、飽戸の弁当箱が落ちるけたたましい音。
次いで上がるは悲痛な叫び声>>0:168。
飽戸が呻きながら机の上に置いた二段式弁当箱は、落としたせいで入った亀裂が遠目からも見え何とも痛々しかった。]
鳴人、大丈夫か?
[今度は揶揄より先に身を案じる言葉が出て、内心拳を握り締める。
返答が来る前に安堵の笑みが浮かんだのを見、大丈夫そうだなと胸を撫で下ろして独り言ちた。
仁科はどこで昼食を取っていただろうか。自分の席で弁当を食べていたのならおかずを勝手に掠め取り、悪くないな!とにやついた。
怒られれば鳴人の方に向かいせしめようとしたが、些細な眼力だけであっさり退散するはめになったか。*]**
(7) 2014/10/02(Thu) 01時頃