―居酒屋個室・1番テーブル―
そうそう。ヨーラったら、夏の度にぐったりなってて。
談話室とかでも、とろーんって。
このままだと本当に溶けちゃいそうだったから、ガリガリ君放り込んだこともあったっけ。
[ヨーランダとメアリーのやり取りに、ふふっと笑みを浮かべながら、グラスを傾けた。
なんでも、この店のオリジナルカクテルだそうだ。
乾いた喉に、酸味を帯びた軽い甘味が、心地よく通り過ぎてゆく。
たしか、談話室は一階にあって、蒸し風呂みたいな寮の中でも、床の付近はかすかな冷気をたたえていた。
あの空間がどうしてひんやりとした空気を携えていたのかは、今でも謎のままなのだけど。
壊れかけていて、少し雑音をまとっていた扇風機が回っていたあの空間。
懐かし仲間たちとの再会を果たしたせいだろうか。これまでほとんど思い出すことのなかった十代の夏が、色彩とともに脳裏に浮かび上がってくる]
(7) 2011/08/25(Thu) 14時半頃