― 岬への道 ―[余四朗の返答を聞くと、鬼丞はほう、と顎を撫でた]樹怪たあ、珍しい、ああいったモンは早々人里へは出て来ねえ筈だが。で、そいつあ片付けたのか?[再度の問いには、影鬼の亀の名と、話しただけで倒しはしなかったようだとの顛末も伝えられて、ふん、と、鬼丞は鼻を鳴らす]影鬼なんぞと二つ名、名乗る割には、あめえこった。[零した声には苦さが混じる。鬼丞と自ら名乗っておきながら、鬼というものを殊更嫌うのは生まれ育ちのせいだ、とは、本人も自覚していた]ああ成る程、高い場所に上がるのは悪くねえか。あっちの岩場になんぞ気配があったが、あれだけとは限らねえしな。[村一つを滅ぼした怪異だ、様子を出来るだけ広く探るのは悪くない、と、余四朗に同道して岬を目指すことにする]
(5) 2015/02/08(Sun) 01時頃
sol・la
ななころび
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