…貴方の指先が棘で赤く染まってしまうのは本意ではないのです。
…だって、茨に絡まれ羽根が剥がれてしまうかもしれないしれないじゃないですか。
……でも、貴方には筆より花を愛でる方がお似合いでいらっしゃるようにも思えてしまう。
[ああ言えばこういう。
言葉の応酬に伏せられていた瞳はゆっくりと色を滲ませ、唇から紡ぐは陳腐な台詞。
くすくすくす。蝋に灯る瞳は少しばかり欲深い煌きを。口元を袖口で隠しながらそっと眉尻を下げる。]
…失望するかどうかお決めするのは貴方ではありませんよ。
などと言っては過ぎた言葉でしょうか…?
……ええ、きっと。大切なことなのでしょう。だから貴方はお見えになられたのでしょうか。
──識る為に。
[いけしゃあしゃあと。下げた足は何処へやら。つま先差し出し、殊勝な面構えを向ければ指先に伝わる柔らかさ。
それが目の前に佇む御人のものだと気付けば、頬に少し血が上ってしまう…、なんてことはなく。ただただ口元に三日月を浮かべたまま享受して。]
(4) 2014/09/14(Sun) 15時半頃