― 3階:ピッパの客室 ―
[ベッドに座り、しばらくぼんやりとする。
考える事は多々あれど、今は逃げるようなヒューの背中が焼きついていて。…ばふ。ベッドに倒れこむ。]
――… ジェフ。
[彼の名を呼び、目を伏せた。]
… … … 早く、帰らないと
[ラディに言った言葉を繰り返した。
あの人が帰って来た時に、あたしが家にいなかったら、きっと心配する。
『次に君の誕生日が来たら――』
仰向けになり、手の甲を目元にのせると視界は真っ暗になる。まるでそれは未来のようで、声を失った。
ごろんと寝返りをうつ。ただ目を閉じて、じっとする。
ヒューが生きてて嬉しかったのは、本当。
だって、問い詰める事が出来る。彼への手掛りだ。それにもしかして、自分の手で彼の無念を晴らす事も出来るかもしれない。
たとえ、―――刺し違えてでも。 そんな強い思いは、密やかに胸に広がる。 でも、もし。その手がかりすらなくなってしまったのなら。 *あたしは一体、どうするだろう*]
(3) 2012/04/16(Mon) 01時頃