青い空! 白い砂浜! 照りつける太陽!
[船着き場に到着して早々に黒いキャリーバッグを肩に担ぎ全力ダッシュで怪談を駆け上がった男は両手を広げて陽光を一身に浴びる。
ゴンッ
音を立ててキャリーバッグが落ちたが男は気にしてはいなかった。
陽光を受ける男は黒いスーツに真っ白いシャツ。情熱を思わせる真っ赤なネクタイを身に着け伊達眼鏡を掛け、麦わら帽子を被っていた。男の名前はアラン・マクナード。知る人ぞ知るトライアスロン選手だった。アスリートであるアランはマネージャーにマネージメントされた生活を送っている。練習時間、トレーニング法、食事、睡眠時間、果ては房事まで。あらゆる事柄を管理されるアランは時折こうして脱走することがあった]
楽園島よ! わたしは帰ってきた!
[『太陽が呼んでいるので旅に出ます』
そんな書置きを残してきたアランは落としたキャリーバッグを拾い上げると燦々と降り注ぐ陽光の中を洋館に向けて歩き始めた*]
(2) 2017/07/23(Sun) 20時半頃