―教会―
[あちらこちらに見える激しい戦闘の跡。後輩の健闘を示すものだろう。しかし多勢に無勢だ。こんな猛攻を受けてしまっては。
長廊下を駆け抜けて角を曲がった瞬間、連立っていた狼が吠えた]
―――――! …ガーディ!!
[思わず声が上がった。それは悲惨な光景だった。
彼の異能は生と死を繰り返すが、それにはある程度の時間がかかる。更にダメージの蓄積も存在する。死に、眠りについて、回復し、その最中でまた損傷されて、延々と地獄のような光景が続いて行く。吸血鬼は"鍵を壊せ"と指示を受けている以上、彼の損傷を止めようとはしない]
……っ、この!
[刹那、自分の戦闘力が著しく落ちていることも忘れ、その一群に突っ込んだ。
吸血鬼の一斉攻撃を裁ききれる筈はなく、傷は増えていき血は滴る。致命傷の攻撃のみ、身体に"口"を出現させて、攻撃を吸収してやり過ごす。しかしその分、確実に動作は鈍る。その隙に攻撃を受けて、また血が流れる。全身が裂かれるように痛むが、後輩の痛みを想えば、こんなものは。
無理やり押し通るように後輩の元まで辿り着く。その小さな身体を抱えると、この場を脱しようとしたが]
(0) 2015/01/21(Wed) 01時半頃