――いっそ、時を止めてしまおうか。
["そうしたら、離れずに済むだろう?"、なんて。戯けるように言葉を投げながら、僅かに身体を離して彼の手を引き。
彼がそれに倣ってくれたのなら、二人で共にソファへと。あの夜語り明かした時のように、寄り添おうとしただろう。]
そう言えば、殴られた…と言っていたが。
口の中は、まだ痛むか?
痛むなら、氷を持って来るが。
[珈琲が染みる、と言っていたから、恐らくは顔を殴られたのだろう。痛みが無いように、そっと頬へと――今更かもしれないけれど――触れながら。
そうしてまた、痛みの具合が解らぬ男は、啄ばむように唇を寄せ。指をそっと握ったのなら――あの時血で濡れていた指は、未だ痛みを伴いはしただろうか。]
しかし情けないかな、俺は君の趣味はおろか…好物すら、知らないんだ。
……ヨハン。
君の話も、聞かせてはくれないか。
[彼へと寄り添い、軽く目を伏せながら。彼を求めるように投げてみた言葉に、彼は果たして応えてはくれるだろうか。]
(+22) 2014/10/10(Fri) 20時頃