― バイト先・スタッフルーム ―
………。
[立樹は疲れた、という顔で自分のロッカーを開けるとひとつ大きな溜息をついた。
本日のディナータイムは大盛況で厨房は多忙を極めたようだ。
飛び交うオーダーの声を必死に捕まえ、”何をどの順番でこなすのが一番効率的か”を組み立てていく。
忙しくなれば忙しくなるほどその作業は洗練され、パズルゲームをしているような感覚に陥る事がある。
それが楽しくもあるのだが、今日ばかりは楽しんでいる余裕もない程であり、立樹の口から溜息が出る程というのだからよっぽどだった事が伺える。
さっさと着替えて帰って明日に備えようと制服を脱ぐと、後方から「づがれだぁ…」と情けない声が飛び込んできた。
視線をそちらへ向けると、立樹と同じく厨房を担当していた同僚がへろへろとロッカーの方へやってくる。
その顔はこの世の終わりでも見たのかという程に沈んでおり、立樹の50倍ほどわかりやすく己の現状を他者に伝えていた。]
(+9) 2017/03/02(Thu) 01時頃