[ジェレミーの助太刀もあってか、冥い海に、ミナカだった化物だけが呑み込まれてゆく。
沈みゆくそれを一瞥し、船首楼から飛び降りると、甲板に残るジェレミーとヘクターの傍へ歩み寄る。
労いや、救いの手を差し伸べる意図などない。ましてやガッツポーズなど。
ただ獣のままで近付いて、おそらくは何も見えていない、聞こえていないであろうジェレミーをじっと見上げ。
それから、腹を喰らわれ血塗れで横たわるヘクターを見る。]
……生きているのか。
ならば、最期まで喰らってみせろ。
[獣でもない男に、喰らってみせろとだけ言い残し、その場を歩き去ってゆく。
もしも、ヴェラが獣ではなくヒトの姿をとっていたなら、何かに納得したかのように、薄い笑みを浮かべていたかもしれない。
己の魂が、何故、まだこの船にあるのか。
漸く、分かったような気がした**]
(+6) 2014/12/15(Mon) 02時頃